俺のマスターに手ぇ出すんじゃねぇ!

「ライム〜?何処〜?」
室内に響く、一つの声。
ミナナがライムの名を呼びながらあたりをきょろきょろしていると、扉が開いた。
「何をやっている?ミナナ?」
「ジャドドぉ〜…ライム知らない?いないんだけど…」
ジャドドとともに、小隊メンバー+αが入ってくる。
「なに?ライム、いないの?」
「うん…せっかく一緒にカラオケ行こうと思ったのにさ。何処にもいないんだよねぇ」
その言葉の後、ティララが思いついたように言った。
「ずいぶん前だけど、ライム殿に会ったとき目が赤…充電切れ間近だったよ?」
少しの沈黙の後…。
「え”ええぇぇぇぇぇえ!!!!」
「ミナナ!!早く探しに行こう!」
「ライムう”ぅぅぅぅ!!」
頭を抱え、泣きながら走って行ったミナナ。
「おぃ!!ちょっと待て!!」
その後を、他のメンバーがダッシュで追いかけていく。
さすがに本来はDSiだ。ゲーム機の充電が切れればうごかなくなってしまうのと同じで、
ライム本人も、充電が切れれば眠ってしまう。
「どこ〜!ライム”〜(泣」
「俺とミナナはあっちを探す!皆もその辺の奴と各方向へ散れ!」
「「了解!」」「分かった!」
十字路で各方向へ散り、ライムの捜索を続ける。
「最後に奴と会ったのはいつだ?」
走りながらジャドドが問う。
「昨日の夜!!ネット界行った後、私の方はそのまま寝ちゃったから…」
「行方は分からない…か。とりあえず、片っぱしから探そう」
見かけた部屋は全部中に入って探した。
それでもライムかみつからない。他の者からの連絡もない。
「ライム…何処行ったの?」
「ミナナ…?」
「ジャドドぉ…っ」
ついにはしゃがみこみ、泣き出してしまった。
もしも見つからなかったら…というプレッシャーにたえられなくなったのだろう。
「うっぅ…ひっく」
しゃくりあげ、泣くミナナを己の手でそっと包み込んだ。
「泣くな…ライムはすぐ見つかる。それに、俺が悪い気がするだろっ」
ジャドドの行動を一瞬考え、ミナナは赤面する。
「ばかっ!!何やってんだしっ」
抵抗しても、ジャドドの腕はびくともしない。
「ちょ、放して…この変態!!」
「な!変態はないだろう!お前のことを思ってやった行動だぞっ!こっちのほうが恥ずかしい…」
「そっちまで顔赤くしないでよ!もっと恥ずかしくなるぅぅぅ」
そんなとこへ、重要人はやってくる。
ソレは己の唯一の武器、タッチペンを振り上げて言う。
「お前…俺のマスターに手ぇ出すんじゃねぇ!!」
そのタッチペンをジャドドに思いっきり振り下ろした。
「マ…マスター?」
「シャドーっ!!」
影で壁を作り、攻撃を防御。念のため、ミナナを庇う。
攻撃の反動で少し後ろへ飛ばされ姿勢が崩れたが、
タッチペンを杖代わりに立ち上がり、ジャドドに向けて殺気を放つ。
「チッ…外したか」
「貴様、軍に入ったほうがいいんじゃないか?」
「軍なんて御免だね」
殺気モードで話すライムとは反対に、いつもの調子で話すジャドド。
ミナナはその2人のうち黄緑色のパートナーを見て、歓声をあげた。
「ライムっ!!」
「何だよ、ミナナ」
すっと立ち上がり、ライムめがけて全力ダッシュ。そしてライムに抱きついた。
「ライムぅ!!何処行ってたんだよ!」
うれし涙を流しながらライムの胸に顔を埋めた。
身長の差が少しあるため、変な光景だ。
「ま、任務完了ということかな…」
ため息をつきながら2人を見ていたジャドドは、他の者へ連絡を入れた。
『こちらジャドド。ライム発見。生きてたぞ』
するとすぐに応答が返ってきた。
『こちらディノノ&ビロロ。ライムいたか?』
『あぁ。庭園入口付近にて発見…というか、急に表れたな。攻撃されが怪我はない。』
『アロロ、ティララ、フルルです。今そちらへ向かいます』
『じゃぁ俺たちも向かう』
『了解』
ぷつりと通信は切れた。
もう少しで皆此処へ来るだろう。
「おい。もうすぐ他の奴等も此処に来るぞ〜」
「うん!皆で庭園でティータイムやろぉ!」






オマケ(台詞のみ)
〜庭園でティータイム〜
「で、ライムは結局何処へ?」
「あれだけ探したのにいなかったんだ。何処か出かけてたのか?」
「は?俺ずっと基地内にいたんですけど」
「「え?」」
「ミナナの絵が飾ってある部屋、あそこでおめぇ等の設定資料拝見してた」
「マジかよ…」
「マジマジ。マジです」
「何のために…」
「通りかかった所にちょうど暇つぶしが出来そうな所があって、面白いものを発見したから」
「充電は…?」
「んなもん自分で出来るだろ」
「「骨折り損のくたびれ儲け…」」
「2時間後には任務に向かうぞ…」
「「えぇぇぇぇぇ!?」」
「よし!後でカラオケ行こう!」
「またかよ…」